Bad Company『Shooting Star』
70年代洋楽ロックの渋めな曲を紹介する名曲ガイド第10回は、ロックスターを夢見たジョニーの物語、バッド・カンパニーの「シューティング・スター」です。
流星のように儚く消えたロックスター

リリース:1975年
収録アルバム:ストレート・シューター(Straight Shooter)
【クレジット】
作詞作曲:ポール・ロジャース(Paul Rodgers)
プロデューサー:バッド・カンパニー(Bad Company)
録音・ミキシング・エンジニア:ロン・ネヴィソン(Ron Nevison)
マスタリング・エンジニア:ジョージ・マリノ(George Marino)
【パーソネル】
ポール・ロジャース(Paul Rodgers):ボーカル、リズムギター
ミック・ラルフス(Mick Ralphs):リードギター
ボズ・バレル(Boz Burrell):ベース
サイモン・カーク(Simon Kirke):ドラム、パーカッション
【シングル・チャート】
※シングルリリースなし
全英アルバムチャート(UK Albums Chart): 第3位
米国 ビルボード 200(US Billboard 200): 第3位
学生時代に友人の家で『ストレート・シューター』のLPをを聴かせてもらってバッド・カンパニーが好きになり、中でも一番気に入った曲が「シューティング・スター」です。ポール・ロジャースが歌うロックスターを夢見た少年の物語は、当時のロック界で起きていた悲劇を下敷きにしています。
この曲はビートルズの「ラブ・ミー・ドゥ」を聴いたジョニーという少年がギターを手に入れ毎晩練習して、母親にロックスターになるんだと言い残して家を出るところから始まります。念願叶ってジョニーはレコードを出してスターになるのですが、ある晩ベッドの中で亡くなってしまった彼の枕元にはウィスキーのボトルと睡眠薬があった、というお話です。
この曲が始まってすぐに惹きつけられるのは、ポール・ロジャースのアコースティック・ギターと、ミック・ラルフスのギブソン・レスポールのユニゾンによるイントロです。そこにシンプルなドラムスとベースが重なってすぐにボーカルが入るという、短いけれど完璧な構成が巧みですね。
ポール・ロジャースは絶妙なハスキーボイスと抜群の歌唱力の持ち主で、後にジミー・ペイジやクイーンとユニットを組むことになります。英国ロック界の大物ギタリストにも信頼されるポール・ロジャースの歌はそれだけでも聴く価値がありますが、バッド・カンパニーが世界的な人気を獲得したのは「シューティング・スター」を始めとする楽曲の良さと、彼のボーカルを引き立てるバックの確かな技術もあったからです。
バッキングの教科書とも称されるミック・ラルフスのギター、キング・クリムゾンで急遽始めたというボズ・バレルのベース(いきなり通用するところが凄いです)、フリー時代からのポール・ロジャースの盟友、サイモン・カークの重低音の効いたドラムス。最小限の編成でスタジアムを埋める観衆を熱狂させたのは、技術とセンスの裏打ちがあってこそだと思います。
歌の内容に戻ると、ロックスターになったジョニーに対して、サビの部分は“お前は分かってないよね。流れ星なんだって分からないのかい?”と問い掛けます。60年代末から70年代にかけて、ロック界ではジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンなど有名ミュージシャンがアルコールや薬物の影響で若くして亡くなってしまうという出来事が何度もありました。
流星のようにほんの一瞬だけ輝いて消えていったジョニーの物語は象徴的なもので、『ストレート・シューター』リリースの翌年にはフリーのギタリストだったポール・コゾフが25歳の若さで亡くなってしまうという悲劇も起こりました。「シューティング・スター」の背景には刹那に生きるロックスターたちの姿があったのです。
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